膝のお皿がずれる?!膝蓋骨脱臼とは

どのようなケガでも誰も喜んで作ろうと思わないものですが、切り傷や刺し傷など血が出てしまうようなケガはもちろん、指や部位が変形してしまうケガというのは見ていて気持ちのいいものではありません。

中でも今回ご紹介する脱臼というケガは見た目に良くないだけでなく、一度起こしてしまうと再発する可能性が高く、特に成長期にしてしまった脱臼はその再発確率が上がってしまうので、キチンと治したり日ごろからケアするように注意したいものです。

そういった脱臼の中でもこの記事では膝のお皿とも呼ばれる膝蓋骨の脱臼についてご説明していきたいと思います。それでは確認していきましょう。

膝蓋骨脱臼とは?

何らかの衝撃により強い痛みや痺れ、患部に腫れが生じる「脱臼」。脱臼とは関節部分で骨が本来あるべき位置からずれてしまっている状態で、骨の関節面が関節から完全に外れてしまっている「完全脱臼」と、外れかけているもののまだ完全に外れ切ってはいない「亜脱臼」とがあります。ヒトの体の部位で最も脱臼しやすいのは骨頭に対して受け皿となる部分が小さい肩関節で、スポーツの最中に肩を大きく動かしただけで脱臼や亜脱臼を起こしてしまう人も珍しくありません。

一方、スポーツ時の動作により、靭帯の中で最も大きな関節とも言われる膝関節が脱臼を起こしてしまうケースもあります。膝関節は大腿骨(太ももの骨)と脛骨(脛の骨)とを繋ぐ関節で、その前面には膝蓋骨、いわゆる膝のお皿が盾のようにくっついています。大腿骨と脛骨の間で曲げ伸ばしの運動を行う際、この膝蓋骨が太もも前面の筋肉と脛骨を繋ぐ腱の間で、筋肉の収縮を脛骨に伝える滑車のような役割を果たしているのです。この膝蓋骨が、衝撃や特定の動作により亜脱臼や完全脱臼を起こしてしまうことを、「膝蓋骨脱臼」というわけです。

膝蓋骨脱臼は、殆どの場合膝蓋骨が大腿骨に対して外側に脱臼しますが、亜脱臼の場合自然に元の位置に戻ることも珍しくありません。亜脱臼の場合無症状のことも多いですが、他に感じる症状としては歩くと膝の内側が痛い、膝に不安定感がある、膝がガクッとなる(膝くずれ)、といったことが挙げられます。一方完全脱臼の場合は、膝蓋骨を内側で固定している膝蓋大腿靭帯が断裂し、強い痛みや腫れが生じます。また一度膝蓋骨脱臼を起こすと同じような外力が加わったときに簡単に脱臼してしまう、「反復性脱臼」になる人も少なくありません。

膝蓋骨脱臼の原因

膝蓋骨脱臼は大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)が強く収縮する時や、膝を伸ばした状態で脛骨をねじるような動作をした時に起こりやすく、例えばジャンプの際に脛を外側へねじるようにして着地すると、大腿四頭筋が膝蓋骨を外側に強く引っ張ってしまうため、膝蓋骨が脱臼してしまいます。またダッシュからの急停止や膝で踏ん張る動作をしたときにも同じような力が加わり、やはり膝蓋骨脱臼を引き起こしてしまうことがあります。

特に膝蓋骨の骨頭の受け皿となっている大腿骨の溝が浅い、膝蓋骨や大腿骨の形が悪い、大腿四頭筋が作用する方向と膝蓋靭帯の方向が異なっているなど、生まれつきの素因を持っている人は、同じ動作をしても他の人より膝蓋骨脱臼を引き起こしやすいと言えるでしょう。実際膝関節の形態上、10代の女性に発症することが多いと言われています。

まとめ

今回は膝のお皿とも呼ばれる膝蓋骨の脱臼について記事を書いてまいりました。文中にもあるように脱臼は膝蓋骨以外の箇所でも非常に再発しやすい不調と知られており、一度起こってしまったさいには完治するまで十分な安静を行い、またなおった後もキチンとケアしてあげるように心がけましょう。

しかし、膝のケアと突然言われても何をすればよいかわからないものだと思いますので、例えば下記のように膝を回す以外にも周りの筋肉をストレッチしたりトレーニングする方法をご紹介して終わりたいと思います。

内側広筋のトレーニング方法

椅子にすわった状態で、片足ずつ行います。

まず2秒間かけて膝がまっすぐになるよう伸ばしていきましょう。このとき、つま先を外側に少しひねることを心掛けると、内側広筋に効果的なアプローチができます。

次に、同じく2秒間かけて膝を曲げ、足を下ろします。

膝が伸び切らない人や曲がりづらい人は、無理のない範囲で構いません。

1日合計100回くらいを目安に行うと良いでしょう。

外側広筋のストレッチ方法

壁や椅子に手を置き、体を安定させた状態で行います。

まずは、足の甲を手で持ち、膝を曲げた状態で片足立ちに。足の甲を持てない人は、タオルをひっかけて引いてもOKです。

姿勢をまっすぐにし、手に持った足のかかとをお尻に引き寄せます。つま先を内側に少し傾けると、外側広筋を効果的に伸ばすことができます。

このとき、腰が反らないこと、曲げた足が体の前にいかないことに気をつけましょう。伸びが甘くなってしまいます。

太もも前面の外側が伸びてることを感じたところで、2040秒キープしましょう。

引用:膝関節症クリニック