摂食障害の原因と危険性

食事を極端に制限する、食べた後に嘔吐するなどして排出してしまう、食欲をコントロールできずに大量の食事をとってしまう・・・等など、日常の食事に大きな問題を抱えてしまう「摂食障害」。本来日常生活における普通の営み、楽しみであるはずの食事が心身に悪影響を与える要因になってしまうことは本人にとっても周りにとっても歓迎されるものではありません。

本日はそんな摂食障害の原因となる事例や危険性について記事を書いていきたいと思いますので、ご自身が、あるいは周りの方の食事に違和感を覚えたときはなるべく配慮してあげるようにしましょう。それでは記事を始めてまいります。

摂食障害とその原因

摂食障害は「精神疾患」に分類される通り、心理的な要因に社会的な要因が複雑に絡み合って引き起こされるケースが殆どです。

社会的要因とは具体的には「痩せていることが美しい」という世間の一般的な認識が根底にあることで、標準体重を大きく下回るモデルや女優が賞賛されたり、逆に自分が太っていることを誰かにからかわれたりバカにされたりすると、「何が何でも痩せなくては」という気持ちになってしまいます。加えてダイエットで新しい人生を手に入れた人のドラマや実際のサクセスストーリーをメディアが取り上げたり、「〇〇ダイエット」が次々と登場してダイエット自体が流行しているかのような錯覚を与えたりすることも、食事に対する偏った見方を助長して摂食障害の引き金となってしまうことがあるのです。

一方心理的な要因とは、例えば自尊心・自信のなさや孤独、疎外感、なかなか解決できない人間関係や家族の悩み、完璧主義のせいで自分の掲げる「理想」に達することができない辛さなどで、これらからの精神的な逃避行動として摂食障害に走ってしまうことがあります。ダイエットは体重という分かりやすい数字によって達成感を味わえますし、排出行動を伴う摂食障害の場合排出後にある種の安心感を得ることもできるため、自分が今直面している問題から目をそらし偽の「満足感」を得ることができるというわけです。

摂食障害の危険性

摂食障害は精神疾患の1つであり、放置していると心身に様々な危険が及びます。

極端な食事制限を行う拒食症の場合、まず考えられるのは栄養失調によるダメージです。身体は飢餓状態になると少しの栄養素でも生き延びることができるよう身体のギアを「LOW」の状態にします。そのため生理不順や血圧低下、低体温、便秘、、また栄養不足による筋力低下や骨粗しょう症を引き起こしたりするのです。特に排出行動を伴う拒食症は非常に危険で、全体の約18%が栄養失調や身体合併症で死亡するという統計結果が出ています。

一方過食と排出行動を繰り替えすタイプの過食症は、その排出行動により身体的なダメージを受けます。その中には胃酸による逆流性食道炎や齲歯、また電解質異常や生理不順などが挙げられ、中には不整脈によって突然死することさえあります。

まとめ

今回は摂食障害が起こる原因やその危険性について記事を書いてまいりました。年齢を重ねてからはもちろんですが、特に成長期の身体に十分な栄養がいきわたらない場合、第二次性徴が遅れてしまったり、骨がスカスカになる骨粗しょう症などの原因にもなるので注意が必要です。

また文中でも触れているようにその時期は特に周りの目が気になったり、親のアドバイスを聞きたがらない時期でもありますので、極端に食事をとりたがらなかったり、目に見えて体調が悪そうに見える、炭水化物の摂取を嫌がるなどの症状がみられるときは十分に配慮してあげましょう。

また思春期に限らず摂食障害は精神的なストレスの影響から発症することが多く、周りはどのように対応すればいいのかわからないことがたくさんあると思います。例えばなるべく叱ったり、強制的に治すような行動ではなく、以下のような方法も参考にしてみてください。

摂食障害のおばけには、具体的にどのように対応すればよいのでしょうか。

「家族からよくある相談が『過食をやめさせたい。過食をしている本人にどう声をかけたらよいのでしょうと』というものです。過食をしている最中というのは完全におばけに乗っ取られた状態ですから、基本は何をやっても無駄なので、過食ではないときの本人に、きちんと接することが基本です。落ち着いているときに、「何かできることはない?」などと話をするとかですね。してはいけない対応は、おばけに餌を与えてはいけません。例えば本人が過食するからといって、過食ができるように食料いっぱい買ってきてあげるとか、『あれ買ってきて、これ買ってきて』を全部聞いてあげるとか、お金を好きなだけ渡してしまうなどです。これをすると管理しづらくなるので、本人と話して、『これはおばけに餌をやっているようなものだから私としてはしたくない。だから、どうしようか。お小遣いは今、過食代1日千円にしているけど、言われたからって渡さないで1500円ぐらいにするね』とか、『私が管理するね』とか、そういうふうに話し合っていくといいかなと思います」

引用:NHK ハートネット